今年のJ−REIT

総括するにはまだ半分も経っていないので、あくまでもこの4ヵ月ほどを振り返ってみたい。まずは東証REIT指数(終値ベース)の推移から。

  • 2000ポイント突破…1/4
  • 2100ポイント突破…1/19
  • 2200ポイント突破…1/31
  • 2300ポイント突破…2/8
  • 2400ポイント突破…2/23
  • 2500ポイント突破…4/27

凄まじい成長力である。昨年の今頃は1700ポイント台を少し超えたあたりだから、約50%の上昇である。2月末の上海市場ショックのあおりを食わなければもっと伸ばしていた可能性が高い。
 次に時価総額についてだが、大発会の1月4日時点で5兆円突破、その後多少の紆余曲折はあったものの直近では6兆5000億円目前まで来ている。クリアはもはや時間の問題であり、このペースで成長し続けたら年末までに10兆円まで行きかねない。
しかしそれには新規上場、公募増資、第三者割当増資といった援護射撃が必要である。新規上場でいえば、今年に入って野村不動産レジデンシャル1銘柄のみというのは寂しい。予備軍といえるのが、

といった顔ぶれである。住友系の東京オフィスビルファンドは上場を嘱望されるもののその気配が全くないので、それを除外すると6銘柄。期待したいのは母体のブランド力からし産業ファンド投資法人、日本商業施設ファンド投資法人といったところか。しかしここ2年ばかり10銘柄以上新規上場を果たしてきた点からすると『弾切れ』を予感させるのも事実。何度か言及したが、オーストラリアに日本の不動産だけに投資対象を限定したファンドが次々と上場をしており、ファンドのポートフォリオを構成する収益性不動産の奪い合いは一層過熱化しているものと思われる。それが地価上昇を産む原因となっているのだが、ファンドの成長を阻害する要因にもなっている。こうなると小規模ファンドの買収・合併が画策されるのは自然な流れで、それが表面化したのが先日のFCレジデンシャルの一件である。他ファンドの関係者、投資家等にはいい警告となったと思う。
 新規上場が難しいとなると既上場銘柄の公募増資、第三者割当増資に期待するしかないが、こちらは非常にお盛んである。上場銘柄が41銘柄まで達した効果である。今年行われた公募増資だけでも列挙*1すると

いずれも結構な規模であった。第三者割当増資しか行わなかったエルシーピー、ビ・ライフも時価総額アップに一役買っている。投資口価格がどんどん上昇しているので、3万口程度の増資でも、小規模ファンドの新規上場並みのインパクトを市場に与えており、それが市場の活性化を促している。最後の増資から1年以上経っている銘柄も多い。このペースだと半分以上の銘柄が公募増資ないし第三者割当増資を行うことになるが、それは間違いなく達成されるはずだ。
 最後に分配金について。予想分配金を下回る確定分配金が公表されるケースが見られ始めるようになった。過去には考えられなかったことであり、保有者にしてみればたまったものではない。むろんその差額分以上に価格が上がっているから、それだけで大騒動に発展はしないが。怖いのは投資口価格が下落し始めたときであり、今回のようなケースが当たり前のものと認知されるようになることである。持っていれば損をし、おまけに配当は予定を下回るでは、金融商品としての価値は一気に下がってしまう。その後どうなるかは誰でもわかることだ。レアケースがたまたま続いただけだと信じたい。

  • 再来月の主なスケジュール
    • 25日:6月決算期銘柄権利付取引最終日。
    • 26日:6月決算期銘柄権利落ち

面白blogリンク集

*1:新規上場の野村不動産レジデンシャルは除く