今年の10大ニュース

 REITにとって、今年は毀誉褒貶の激しい一年だった。個人的な印象で選ぶ10大ニュースはこんなところ。

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1 成長神話ストップ 5月末には東証REIT指数が2600ポイント台に達し、時価総額も7兆円手前まで行ったのが、年末には約3割ダウン。
2 新規上場大幅減&見送り 野村不動産レジデンシャル、産業ファンドの2銘柄のみ。ジェイリート、エイブルリートは直前で上場見送り。2005年から2年連続で二桁だったのが、嘘のような閑散。また昨年上場を延期したエコロジー・リートは上場断念&資産運用会社解散という結論を出した。
3 既上場銘柄の増資ブーム ポートフォリオの収益安定化(リスク分散)のために、REITは規模拡大が宿命付けられているところがある。従って、増資は恒例行事なのだが、前半戦の好調がさらに拍車をかけ、実に半数の銘柄が何らかの増資を行った。
4 譲渡益による分配金アップ作戦の横行 今までは東京グロースリートやDAオフィスといった比較的評価の高くない銘柄で行われていた手法が、ジャパンリアルエステイト、プレミア、グローバル・ワン不動産といった老舗・優良銘柄にも波及。やり過ぎればタコ足になってしまうが、不動産市場の陰りからすると、あながち間違いではないのかも。
5 兄弟銘柄の誕生 今年上場した野村不動産レジデンシャルはその名の通り、野村不動産を母体としており、資産運用会社の野村不動産投信野村不動産オフィスファンドと同じであり、いわば弟分にあたる。そしてもう一つの上場銘柄である産業ファンドも、同様の理由で日本リテールファンドの弟分である。(資産運用会社は三菱商事・ユービーエス・リアルティ)転換期にあることを示唆しているように思う。
6 日本リテールファンド、時価総額3位からまさかの転落 時価総額3位の座は日本リテールファンドのもので、それは不動のものと思われていたのが、11月13日に野村不動産オフィスファンドにその座を明け渡してしまった。すぐに奪回したものの、その後は日本プライムリアルティにも抜かれて5位にまで落ちた。12月6日に再度3位の座を取り返すと、年末までその順位をキープしているが、地殻変動のエネルギーは大きいので、来年もでデッドヒートが見られるだろう。
7 日本ビルファンド時価総額1兆円超え 『今は昔〜』の世界となったが、2月8日終値ベースで初の大台突破。年末時点で1000億円を超えている銘柄ですら15に過ぎないから、1兆円超えがいかに凄いことかわかる。100m走で初めて10秒の壁を破ったようなものか。
8 初めてのREIT間同士の物件取引 グローバル・ワン不動産が保有するビルの権利の一部を阪急リートに売却。私募ファンド⇒REITはよくあるが、REIT⇒REITは初めてのことだった。
9 FCレジデンシャル、導管性要件を満たせず かねてより、プロスペクト・アセット・マネジメント社の大量保有が指摘され、上位投資主3社合計の比率50%超えが危惧されていたが、ついにそれが現実のものとなった。結果、分配金は法人税相当額(約40%)控除後の金額となり、当然予想分配金を大きく下回ることに。個人的には、この際買収&合併というパターンにもっていってほしいのだが。
10 資産運用会社の変更 東京グロースリート、イーアセットの資産運用会社が買収によって変更となった。歴史の浅い新興系や外資系ではこの現象が来年も見られるだろう。