平成19年度税制改正について

本年度の税制改正で「上場株式等に係る譲渡所得等の軽減税率の特例」(所得税7%、住民税3%)の期限が1年延長されることになった。予定では本年の12月末日時点で特例期限が終了することになっていただけに、非常にありがたい話だ。本則であれば、所得税15%、住民税5%と税金は2倍になるため、株式市場への影響は決して小さくない。その点を考慮してのものだろう。また同様に「上場株式等に係る配当等の軽減税率の特例」(所得税7%、住民税3%)も1年延長された。これも同じ理由であろう。

「人間が一番払いたくないもの、それは税金である」というのは古今東西変わらぬ普遍の真理である。預金の利子にも20%の利子税が課せられるが、それとの比較で「配当の方が〜」と考える人が多いのも事実だ。株式市場へ投資する層は、預金金利の低さを嫌ってというパターンもあるだろうし、大きなキャピタルゲインを狙える点も魅力と考えているだろうが、税率の低さも小さからぬ理由と推測する。従って税率が同じになれば、より安全な預金へ回帰する人も少なくないはずだ。来年度の税制改正でまた延長されそうな可能性も充分だが、仮に延長されないとしたなら、改正前後の市場の値動きはかなり激しいものとなるだろう。それをチャンスと見るか、引き際と見るか、それで明暗がはっきりとわかれそうだ。

さてREIT関係での新たな動きについて言及しておこう。先月の19日付で新たに2社が投資信託委託業者の認可を金融庁より受けた。1社はトーセイ・リート・アドバイザーズ株式会社で、もう1社はスター・ホテル・リート・マネジメント株式会社である。前者はトーセイが100%出資しているが、この会社はもともと東誠不動産という不動産開発や中古不動産の再生に取り組み、私募ファンドにも実績を持つ会社が社名変更したものである。REITにもよく見られる新興系の典型であり、次の一手も容易に予測できる。後者はエルエスエフ・ジャパン・ホールディングス・エス・シー・エーという長ったらしい名前の会社が100%出資している。こちらはよくわからないが、グループ企業と思しき会社が東京スター銀行に出資しており、ベンチャーキャピタル系であると紹介されている。社名からするとホテル特化型ファンドかと思われ、実際にスターホテルグループ(リゾートホテル系、シティホテル系)も存在する。ホテルというのはただでさえ賃貸ビル・賃貸マンションに比して、稼働率が大きく上下しやすいのに、それに「リゾート」と付くと、先発組のジャパン・ホテル・アンド・リゾートのように年1回の配当にせざるを得ないだろう。まずはお手並み拝見というところだ。

  • 来月の主なスケジュール
    • 25日:6月決算期銘柄権利付取引最終日。
    • 26日:6月決算期銘柄権利落ち

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