百選

日本には「○○百選」と名の付く類のものが沢山ある。その代表は名水百選であり、日本百名山であろう。ちなみに名水百選は現在の環境省が1985年に選定したもので、日本百名山深田久弥が同名の著書を1964年に出版したことによる。政府公認と個人と大きな違いはあるが、その定着度、言葉に対する親しみ等、ほとんど一般常識の世界に位置している。また、それを謳い文句した観光戦略も当然のように行われていて、我々もそれを安全弁のように考えている点も否めない。ブランドと同じなのだ。

さて私の出身地がこのところ相次いで「○○百選」に選ばれた。1つは「日本百名城」(日本城郭協会が2006年2月に選定)であり、もう1つは「美しい日本の歴史的風土百選」(財団法人古都保存財団が2007年2月に選定)である。後者の方は、現内閣が掲げる「美しい国、日本」の政策標語を完全に意識したものであろう。日本に城の数がいったいどのくらいあるかもわからないが、その中で幾つかの選考基準をクリアし選ばれたことは非常に嬉しい。「歴史的風土」は城下町の街並みがいまだに受け継がれていることへの高い評価の表れだ。選定後あまり時間も経っていないのでその効果はあまり出ていないが、いずれ「日本百名城」、「美しい日本の歴史的風土百選」に因んだ出版物も刊行され、それがきっかけで観光地としての地位も上昇するだろう。

それにしても「○○百選」という出版物のシリーズは非常にツボを得た企画である。株式会社デアゴスティーニ・ジャパンが企画した「週刊 100人」、「週刊 日本の100人」については書店で必ず手にとってしまう。おそらくいったん買い始めたら全て買い揃えなければ気がすまなくなるだろう。100冊で終わるという安心感があるのかも。また同社の別シリーズ「古代文明 ビジュアルファイル」や「世界遺産DVDコレクション」も全冊一通り揃えたくなる衝動に駆られるタイプである。マニア心をくすぐるのが本当にうまいと思う。「日本百名城」、「美しい日本の歴史的風土百選」についても是非手がけてもらいたいものだ。

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